個人再生の特徴
個人の民事再生法では、生活を立て直す「任意整理」(裁判所を通さず弁護士や司法書士に依頼し、債権者と債務者間で借金や利息の減額や返済期間などを交渉する方法)や「特定調停」(債務者本人が申し立てをし、裁判所が債務者と債権者の間に入り和解を成立させる方法)と比較すると、必要書類や手続きのほかに再生計画案も作成しなければならないので、ご自身の作業はもちろん相対的に時間も掛かり、少なくとも6ケ月程度の時間を必要とします。(「個人民事再生手続きの流れ」参照)、ただし、その分債務の額を大きく減額できる可能性も高くなります。
個人での民事再生(個人再生)の場合、カードキャッシングや遊興費などでできた借金の返済が難しくなった場合には、返済の総額を減らし、その減額後の金額を3年から5年で分割返済する計画を提案して債権者に同意を求め、裁判所に認可してもらう流れとなります。この計画が承認されると、その計画通りに返済を実行するという約束のもとで残りの借金が免除されるのです。自己破産と違って住宅を手放さないという選択もできますが、その場合住宅ローンは免除の対象にはできません。また裁判所を通す手続きとなりますので、裁判所の決定内容が官報に公告することが規定されています。1回目は公告が再生手続開始決定時、2回目の公告が書面による決議に付する旨の決定時、3回目の公告が再生計画認可決定時です。
個人再生の種類
個人の民事再生の手続きには2種類あります。
「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」です。
小規模個人再生とは?
事業者の中でも比較的規模の小さな個人事業者を対象とする個人再生手続きです。 この場合、返済の総額が最大で5分の1(借金の総額が3000万円を超える場合は10分の1になります)まで減額になる可能性があります。ただし、そのためには債権者の消極的同意と呼ばれる条件が必要で、消極的同意とは「債権者の過半数以上の反対がない」という条件をクリアすれば再生計画が認められる、というものです。過半数の反対がないという条件なので「消極的同意」と言われています。
給与所得者等再生とは?
その名の通り、給与所得者つまり会社員のようにある程度安定した収入がある債務者を対象とする個人再生手続きで、主にサラリーマンなどの給与所得者等についてだけ認められている手続きです。返済総額は、可処分所得(手取り金額)の2年分となり、さらに先述の小規模個人再生の最低弁済金額よりも必ず大きくなければならないという決まりがあります。給与所得者等再生では,債権者の反対があっても認可を受けることが可能で、債権者の消極的同意は必要ではありません。
上記のとおり、手続きそれぞれでメリット・デメリットがありますが、実際には給与所得者であってもその大半が小規模個人再生手続きを選択します。上述のとおり、給与所得者である程度安定した収入があっても、個人再生によって減額できる借金は小規模個人再生の方が大きくなるためで、給与所得者だからといって必ず給与所得者等再生を選択しなければならないということではありません。ただし、条件にありますように、小規模個人再生が認可されるには「過半数以上の反対がない」という消極的同意が必要です。給与所得者で小規模個人再生を行おうと考えても、小規模個人再生の認可が受けられない可能性が高い場合は、給与所得者等再生の手続きを取らざるを得ないことになります。
民事再生(法人・個人) | 個人再生(個人の民事再生)について | 個人再生を行う条件と費用 |
個人再生の手続きの流れ | 個人再生のメリット・デメリット | 法人の民事再生について |
法人の会社分割と民事再生 | 法人の民事再生を行う条件 |
法人の民事再生手続きの流れ |
法人の民事再生のメリット・デメリット | 民事再生Q&A |
北法律相談事務所TOP |