これまでお伝えしてきたとおり、自己破産は簡単に言うと法律によって全ての借金(債務)を免除してもらうという制度です。端的に言えば「借金をこれ以上返済しなくてもよい」という最大のメリットもありますが、そのための諸条件や制限される事柄、自己破産適用後における不都合など、様々なデメリットもあります。自己破産手続きを検討されている方は、自己破産によるメリットとデメリットをしっかりと把握したうえで、任意整理などそれ以外の方法がないかをよく検討する必要があります。
自己破産のメリット
・借金の督促、取立てなど精神的苦痛から開放される。
・免責許可が出れば全ての債務において支払い義務が消滅する。
(諸税金や国民健康保険料、国民年金等は除く)
・法人の場合は諸税金も社会保険料の未払い等も全て消滅する。
やはり最大のメリットは、免責許可が下りればすべての債務が免除となり、借金を弁済する必要がなくなるということです。上述のとおり税金などの非免責債務以外は、例えば滞納家賃なども支払い義務は消滅します。自己破産をされるほとんどの方の最終目的は免責許可が下りることになりますが、「免責が認められないケース」でもお伝えしたとおり、よほど悪質な免責不許可事由に該当しない限りは、大半のケースで免責が認められています。借金の取り立てから開放され、精神的に余裕ができることで生活の立て直しを図ることができるようになることが破産法の目的でもあります。
続いてデメリットを見てみましょう。
自己破産は、他の債務整理方法と比較するとややデメリットの多い手続きとなります。自己破産は、任意整理のように返済を前提としない手続きとなりますので、そのぶん債権者の不利益が大きく、破産者もそれなりの犠牲を払うことになります。
自己破産のデメリット
・社会的信用を失う。
・換価可能な資産は手放す必要がある。
・申し立て時に「退職金見込額証明書」等を勤務先から発行してもらう必要がある。
(正社員として5年以上勤務している場合)
・新たな借り入れが一定期間できなくなる。
・個人信用情報に事故情報として掲載される。
・免責決定まで一定の職業に対する資格が制限される。
・官報に破産者として住所氏名等が掲載される。
・法人の場合は大半が廃業となる。
社会的な信用を失うのは言うまでもありません。金融機関の個人信用情報に俗に言うブラックリストとして、7~10年程度は事故情報として共有されますので、新たな借入れはもちろん、クレジットカードの作成もできなくなるのはこれまでもお伝えしてきたとおりです。また、勤務先に自己破産を知られてしまう可能性がごく稀にあります。自己破産申し立て時には退職金見込額を記載した書面を用意する必要があり、勤務先に退職金見込額証明書を書いてもらわなければなりませんが、通常必要としない書類になりますので、何らかの疑義は生じる可能性はあります。もちろん、用途について勤務先に説明する必要はありませんし、自己破産を理由とした解雇等は認められておりませんので、それ以上のことは知られずに手続を進めることができます。
なお、自己破産申立人が換価可能な不動産を所有している場合、通常管財事件として処理され、破産管財人によってその不動産の任意売却が行われます。マイホームなど住宅ローンを利用している場合には、その売却代金は被担保権者の弁済に充てられますが、換価価値の低い山林などの不動産の場合は、管財事件とならずに同時廃止となる場合もあります。自己名義の20万円以上の価値のある換価資産は売却対象となりますので、マイホームや自家用車などの継続所有は困難です。
法人の場合は必ず管財事件となりなすが、例えば買掛金の支払い停止などで取引先の信頼を失い、さらにはテナント等を借りている場合は、その保証金なども債権者に配当する必要があることから、実質的に廃業に至る場合がほとんどです。特に小規模な法人もしくは自営業者は、自己破産後も所得の源泉を確保しなければなりませんので、営業の継続を希望する場合にはその他の整理方法を検討するか、一度北法律事務所までご相談いただくことをおすすめいたします。
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