法人の民事再生と再生計画の種類について

法人における民事再生について

corporation01
法人における民事再生につきましては、破産と比較して件数がはるかに少ないのが実情ではありますが、原則として経営陣の管理権を保持したまま手続きを行うことが可能な再建型の倒産手続きで、現社長や代表者が退陣することなく、再建を前提にスピーディに債務を縮小したいという希望を実現することができる中小企業向きの債務整理手続きの1つです。

現経営陣の主導のもと、債権者等の利害関係者の多数の同意のうえで再生計画を策定し、これを遂行することにより会社事業の再建と借金の弁済をを図ります。会社更生手続き等と比べると法的効力が弱い側面はあり、民事再生手続きの再生計画で圧縮できる債務は、担保がない無担保債権のみに限られますが、再建が手遅れになる前に再生手続きを申し立てることができるため、 手形不渡りによる銀行取引停止処分等を回避することができます。

民事再生は、再生計画に反対の債権者があっても、再生に多数の債権者の理解が得られる可能性があれば手続きは有効となります。民事再生法の再生計画は主に以下のパターンがあります。

 

自力で再建する
会社の借入金を最大90%免除される可能性があります。どの程度借金を圧縮できるかは会社の状況や事業の将来収益性などによって異なりますが、少なくとも毎月の返済額は相当に減額することが可能です。もちろん、債権者や再生手続き開始により選任される監督委員の意向もありますが、例えば不採算部門の事業を撤退したり、人員整理など縮小を図りつつ再生計画を進めていくことも必要になります。

スポンサーに頼る
corporation02

民事再生法を申立てるといずれの銀行からの融資も難しくなるため、資金援助してくれるスポンサー企業の存在が重要となります。民事再生を申請する前にスポンサーを決定し、それを申立てと同じくして公表する「プレパッケージ型」という再建方法があり、あらかじめスポンサーをつけておくことで取引先の信用もある程度回復でき、民事再生手続きの開始によるマイナスイメージを最小限に抑えることができます。ただし、スポンサーとしてもメリットがなければ資金援助を行うことはありませんので、再生手続きを行おうとしている会社の事業に利益が出ていたり、将来的に収益が見込める技術があったりしない限り、スポンサーが付くことは稀と言っても過言ではありません。

事業の一部を清算する
スポンサー企業や他の企業に事業売却を行うなど、営業の全てまたは一部を移管したうえで会社を清算する方法です。近年ではこちらの清算方法が一般的で、債務者は、営業譲渡代金にて債権者へ債務を返済します。債権者にとっても早期に債権の返済を受けられるのでメリットがありますが、民事再生を行う企業は将来的な収益部門を売却してしまうので、実質的に会社の存続が難しくなります。

なお、上述のとおり法人による民事再生手続きの申し立て後は、代表者等はそのまま経営権を持ちますが、裁判所により監督委員が選任されることが多く、裁判所が指定する重要事項の決定行為等については、いくら経営権が維持されたとしても監督委員の同意を得る必要が生じます。また、再建において現経営陣が継続して経営権を持つことが不適切と裁判所に判断された場合や、監督委員に無断で重要事項の決定行為(財産の処分ほか)を行ったりした場合は、再生手続きが打ち切られ、裁判所の職権で破産宣告されることすらもあることも認識しておく必要があります。

 

民事再生について・メインメニュー

民事再生(法人・個人) 個人再生(個人の民事再生)について 個人再生を行う条件と費用
個人再生の手続きの流れ 個人再生のメリット・デメリット 法人の民事再生について
法人の会社分割と民事再生 法人の民事再生を行う条件
法人の民事再生手続きの流れ
法人の民事再生のメリット・デメリット 民事再生Q&A
北法律相談事務所TOP

copyright© 北法律事務所. All Rights Reserved.